四国八十八ヶ所は、約1200年前に、真言宗の宗祖弘法大師が開いたといわれる四国の霊場である。これを巡拝することを四国遍路という。当時、四国遍路には、日数と経費がかかったため、四国八十八ヶ所を模した地方霊場が多く祀られるようになった。
徳山四国八十八ヶ所は、天保6(1835)年に遠石千日寺に勧請安置され、嘉永2(1849)年には無量寺(旧佐渡町)に移設された。さらに、明治16~18(1883~1885)年頃に岐山地区の辻町で生まれた浅田善七氏、不破勝益平氏らが旧徳山市内に勧請配置した、と言われている。八十八ヶ所の札所を配置するためには、土地所有者の承諾や費用調達など、問題も多かったが、両氏らの信仰心と人望により、多数の方々の協力を得て、配置の大事業が成し遂げられた。その後、諸事情で移設したものもあるが、代々お世話をしてくださっている方々のお陰で、岐山地区には39ヶ所に現存している。